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あなたのことを、もっと知りたい。 [愛の話]

 どうも、いらっしゃいまし。
お飲み物は何にいたしましょうか?

 あるカップルの会話。
女「昨日のドラマ、めっちゃおもしろかったぁ」
男「へえ」
女「・・・(不満気に)ちゃんと聞いてんの?」
男「(怒って)聞いてるよ」
 カップルのこういう会話、多くないですか? 
 あるいは、何もしゃべらないカップルが向かい合って座ったまま、お互い携帯で友達にメール打っている、とか。
 あるいは、男の方は一生懸命しゃべってるのに、女はつまらなさそうにあいづち打っているだけ。女は、自分の携帯電話が鳴ったら相手の了承も取らずに勝手に出て、男そっちのけでずっとしゃべり続けてる・・・。
 何でしょう? カップルの間に会話というものが成立しなくなってるのか、会話というものを知らないというのか・・・。今の世の中、カフェで隣の席に座っているカップルの会話がおもしろくて席が立てない、ということは皆無に等しい。関西に住んでいたときは、隣のカップルがケンカしているのにも関わらず、聞いてて思わず吹きだしてしまいそうになるくらいおもしろかった。関西人はケンカすらボケツッコミ満載で楽しくて仕方ない。土地柄なのか、世代が違うからなのか、聞き耳を立ててでも聞きたくなるほど魅力ある会話にお目に(お耳に?)かかることはない。
 最初のカップルの会話。「ドラマ、おもしろかったぁ」は単なる感想です。会話ではない。彼氏が「へえ」としか答えられないのも無理はない。それに対して「聞いてるの?」と怒るのは筋違い。会話は常にキャッチボールでなければ成立しないのだから。
 本日のお題「会話の心理」です。

 我が家は90%以上会話は私から、だと思う。殿はもともと無口な人で、自分から積極的に話すということは、付き合っている時からほとんどなかった。だから、私からしゃべり出さなければずーっと黙って座っている。漫才師タカアンドトシのツッコミのように(知ってる?)「欧米かっ!!」ではなく「地蔵かっ!!」っと、言いたくなるときがある。
 極端に無口な男というのは、極端におしゃべりな女を好むのだろうか? 私は、ひとりでいるときにしゃべることはないが(当たり前?)側に人がいたらしゃべらずにはいられない。初対面の人にさえ、そうなのである。ちなみに殿は、無口な女性と付き合ったことは一度もないらしい。

 私にはカードが一枚しかない、と思う。「どうすんのよ?! 俺?!」ってCMね。何枚もカードがあって選べるバージョンのもあるけど、カードが一枚しかないバージョンのCMもあるよね。あのこと。
 人のことを知る手段をひとつしか持たない。私の場合、それが会話。自分という人間はこうですよ、と、さらけ出すことでしか人と通じ合えない。自分では「人好きの人見知り」と呼んでいる。基本的に人間は好きなんです。でも人見知りするんです。えーっ?! と思うでしょ? これだけぶっちゃけてモノ言ってる人間が何言ってんの?! って感じですか? でもね、本当の私はものすごい恥ずかしがり屋さんで、あがり症で、とんでもなく臆病なんですよ。はい、ここは笑うとこじゃないですからね~。ネタでもないですよ。オチもないです。正真正銘、真実です。
 それが証拠に、初対面の人と話すときには、手に汗握るどころじゃなく、滝のように流れるが如く汗をかきます。手が震えることもあります。シナリオ教室で知り合った初対面の看護婦さんに「大丈夫?」と心配されてしまったくらいですから。精神が病んでるとでも思われたのでしょうか・・・? 初対面の人を怖がる心がどこかにあるんでしょうね。でも私の武器はこれしかない。話すことでしか相手を理解できない。だから会話をするわけです。

 会話で何となくわかることってありませんか? 話す内容、言葉の使い方、呼吸のタイミング。自分と合う、合わないってのも、何となく「感じる」ものですよね。この人とはしゃべってて心地良いとか、どうもイライラするとかね。
 もちろん、そういうのって実際に逢わなくても感じることが出来ます。インターネットを通して触れ合う人にもね。ブログの内容、文章のクセ、言いまわし、行間に現れるその人のタイミング。読んで、コメントを書きたいと思う人と思わない人の差と言えばわかりやすいでしょうか。何となくありますよね、合う合わないとかって。文章で会話していて心地良い人・・・、いませんか?

 人と会話するとき、糸口って何でしょうか? 開口一番、「靖国問題について、あなたはどう思われますか?」じゃ相手も引くと思いますが、会話というのはキャッチボールですので、相手に答えさせるように仕向けるのが基本です。
 例えば、一組の夫婦。明日は日曜日。
 妻はどこかへ出掛けたいと思っています。夫と一緒に天気予報を見ていて、
妻「明日晴れだね」
夫「そうだね」
妻「・・・」
 終わってしまいました。これでは、会話は成立しません。
 ではこれではいかがでしょう・・・? テレビは天気予報を映し出しているのに、
妻「どこどこ(地名)行くのって車で何時間くらいかかるかな?」
 と、聞くとします。
夫「(考え)道空いてたら一時間くらいで行くんちゃうか? ・・・何で?」
妻「新しい温泉出来たって、昼間テレビでやってた」
夫「へえ」
妻「大きな露天風呂もあるって」
夫「じゃあ明日天気やし、ドライブがてら行ってみる?」
 と、会話が成立します。
 もちろん、
妻「明日天気だね」
夫「そうだね」
妻「新しい温泉が出来たから連れて行ってくださいな」
夫「では明日行きましょう」
妻「そうしましょう」
 でも、会話としては成り立ちますがね。どうも中学生の「初めて英会話」で出てきそうな模範的な文章ですね・・・。
 会話とは常に、相手に「ん?」と思わせることが大事。シナリオ用語では、「張り手型」というのですが、パチンと叩いてこっちを向かせるというやり方ですね。「何で?」と思わせる、興味を持たせることです。それには、トリックが必要。テレビで天気予報をやってるからといって、天気の話をする必要はないのです。いきなり「どこそこ行くのに車で何時間?」と聞けば、「ん?」と思うでしょう。それが重要。相手が取りやすいボールばかり投げるのも良いですが、ちょっと強いボールを投げてみる。相手に「お?」と思わせる。これも上手いキャッチボールですね。

 私が殿と「相性が良いな」と感じる要因は、この会話の「間」にあります。
 私は自分が今、頭に思い浮かんだことを、すぐ言葉に出さないと気がすまないというところがありまして(この辺がB型と言われる所以か?)突発的に、関係のないことをしゃべりだす時があります。
 例えば、二人で一緒に「水曜どうでしょう」を見ていたとき、別に画面で食べ物が映っていたわけでもないのに、いきなり私は、
「うっわ、めっちゃトンカツ食べたい。明日、トンカツ食べに行こうや」
 と、言ったりします。イキナリですから、ちょっと間違うとおかしな人です(今でも十分?)。
 テレビの画面では、ミスターと大泉君が深夜バスに乗ってるところです。どこにもトンカツなんて出てきていません。それでも殿は、
「ええよ。じゃ、どこどこ(店の名前)行く?」
 と、あたかもさっきまでトンカツ談義をしていたかのような返しをしてきます。ここで、
「お前、何で今、トンカツの話やねん」
 などと言うような人では、干支が一周するまで一緒に暮らせていないと思います。会話の呼吸、とでも言うのですかね。餅つきで言えば、餅をついてる途中に杵がくっつかないように水で湿らせる合いの手が上手な人なのかもしれません。
 まあもちろん、
「お前、何で今、トンカツの話やねん」 
 と、言われても、
「今トンカツ食べたいと思ってんから、しゃあないやん」
「しゃあないやないわ。何がトンカツやねん。共食いか。豚の丸焼きみたいな顔しやがって」
「誰が豚の丸焼きやねん!」
 と、いう会話でも成立しますがね。関西人はケンカもボケツッコミ満載で楽しいですから。まぁ要は、二人の相性次第とでも申しますか・・・。

 私の場合、頭の中身がびっくり箱というか、突然何が飛び出すかわからない構造をしていますので、晩ごはんが和食なのにも関わらず、「カレーとハヤシライスってどっちが好き?」と聞いたり、テレビをぼんやり見ながら、「岐阜の裏金って本当に燃やしたと思う?」と聞いたりします。テレビはニュース番組を映しているわけではなく、まったく関係ない熱闘甲子園で、「行ったー! ホームラン!!」とアナウンサーが実況しています。それでも殿は、ハトが豆鉄砲を食らうでもなく、「お前、頭オカシイんちゃうか?」と言うでもなく、
「五百万やろ? 燃やすかなぁ」
「そやんな? モノ買わずに使える額やん? 柳ヶ瀬で一晩で使おう思ったら使えるやんな」
「何で柳ヶ瀬やねん・・・」
 と、いうような会話に発展します。
 殿は決して「お前、何で今そんな話すんねん」と言うように、相手の会話を決して否定しない人です。自分から会話を提案してくる人ではないけれど、相手の会話を絶対に否定しない。とりあえず、呼吸を合わせてその場にあった意見を言う。もちろん呼吸を合わせるというのは、相手の提案を鵜呑みにするということではありません。トンカツの話のように、「トンカツ食べたい」と言ったとき、「今、そんな話してへんやろ」と否定する代わりに、「いや、俺は天ぷら食べたい」というように、同じ位置でモノを見ることが出来るということです。
 それを目の当たりにするたびに、「この人って頭良いよなぁ」と思います。IQではなく、PQが高いのです。人間にとって一番大事なものを持っている人です。

 学歴社会の昨今、勉強の頭はいいけど、日常レベルの会話はサッパリ出来ないという人がたくさんいるそうです。人と会話が出来ない。学校で勉強、家へ帰れば塾へと追い立てられ、再び家に帰れば勉強部屋に押し込められるという人生。人と会話をすることもなく、知識だけが詰め込まれていきます。どんなに三高をクリアしていても、結婚後の会話が「メシ、フロ、ネル」じゃ、夫婦は一年と持ちません。本当に頭の良い人というのは、その知識をフルに活用する、ということ。宝の持ち腐れではいけないのです。
 昔、高校の先生に、授業中わからなかった数学の問題を質問しに職員室へ行ったことがあります。先生は丁寧に教えてくれました。「あ、わかった」と私がその問いを解くと、「よし、じゃあ、俺にその答えが出た理由を説明してみろ」と反対に言われました。先生は、「人に解るように説明できて初めて理解出来た」という、と言います。人に説明出来ないようでは、応用問題のように少し変わったらまたわからなくなると言うのです。私は結局、うまく説明出来ず、それから小一時間、先生とマンツーマンで数学の特訓を受けたのは言うまでもありません・・・。

 会話って、自分のことを「私ってこういう人なの。私ってねぇ・・・」と自分のことばかり話すより、「あなたはどんなものが好き?」「あなたはどう思う?」と聞く方が成立しやすい。人は質問されると話すだろうし、聞かれた方も、「あなたは?」と聞き返すでしょう。キャッチボールが成立して、初めて会話と言うのです。会話はそんなに難しいものではないと思います。一番重要なことは、相手に興味を持っているかどうか、相手が自分に興味をもっているかどうか、です。相手に興味を持てば持つほど、相手のことを知りたくなるものです。
 私は殿と干支が一周するまで一緒に暮らしているけど、未だに何を考えているか解らないことがある。だからもっと聞きたくなる。聞き出したくなる。
 一番好きな会話は、殿の幼少の頃のこと。私たちは幼なじみではないので、殿が大学生になってからの姿しか知らない。だから、どんな少年時代を送っていたのか、すごく気になる。すごく知りたい。小学生の時は、野球少年だったこと。中学生になって、初めてサッカーをやり始めたこと。高校生の時、自習の時間に友達と雪の中でサッカーをして次の日全員が風邪引いたことなど・・・。知り合うまでの年月のことを話し終えるまでには、干支一周ではまだまだ足りない。
 一緒にいるのに、お互い無言で友達にメールを打つなんて信じられない。
 相手が一生懸命しゃべっているのを聞きもしないで、電話が鳴ったら相手の了承も得ずに電話を取るなんて、考えられない。
 会話をしない、会話に興味がないということは、「あなた」に興味がない、と同じこと。
 「会話をする」というのは、好きな相手のことを「知りたい」と思う心理なのです。

 それではお茶にいたしましょう。今日も蒸し暑かったですね。こういう日は、アイスティー。栄養をつけるためにミルクたっぷりの、キャラメルロイヤルミルクティーにしましょう。キャラメルフレーバーの甘い香りが、ミルクをより引き立てます。ガムシロップの代わりにハチミツでも。もちろん、ノンシュガーでもおいしくいただけます。
 それではまた、お逢いしましょう。


2006-08-14 23:47  nice!(2)  コメント(8)  トラックバック(0) 

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コメント 8

こんばんは。
僕はかなり無口な方だと思います。勿論、聞かれたら答えますけど。
頭の中では色々考えたりするんですけど「自分から」というのは苦手というか。キッカケ作りが下手というか。一応「ウズウズ」とはしてるんですけどね。
だからボールを投げてもらった方が助かります(^^;

間違いなく「受動人間」だと思います。僕は。キャッチャータイプですね。
古田みたいに「どんなボールも受けられるよ」ってなりたいです。

ほどぼどに「お喋りな女性」が良いですね(^^;
思い返してみても・・・確かに無口な女性とはあまり接点なかったなぁ。
違うから惹かれるってあるんだと思います。

セカチューは観てないっすけど。
長澤まさみ好きっす。可愛いっす(笑)
by (2006-08-15 02:26) 

ウチータ

こんばんは。たまには本業の話。
会話のキャッチボールは面接そのものです。とは言っても、「べしゃり」を上手くしろと言っている訳ではありません。
私は面接が始まる前、必ず言うセリフがあります。
「今日は、敬語は間違ってもいいから気にしないで。それよりも自分の言葉で私に話してくださいね。そのほうがあなたの想いが私に伝わりやすいから。」
こういうのも、文章を諳んじて平坦に言うより、自分の言葉で熱く志望動機を語ってほしいと思うから。
緊張したって、別にいい。トークの勉強なんてしなくてもそのうち慣れてベラベラしゃべるようになります。だって私がそうなんだから。
それよりも自分の思いを、メールじゃなくて、口に出して伝えてみればいいのです。
ま、言い換えると、愛の告白はラブレター(もう死語に近いのか?)じゃなくて、緊張しながらでもいいから自分の口で言ってみろ!ってことかな(笑)。
by ウチータ (2006-08-15 03:36) 

猫たぬき

こんばんはkazuさん(^^)まあ受身も才能が必要ですよね。キャッチボールはお互いが同じ力量でなければ続かないから。受身のスペシャリストなら、それはそれで素晴らしいと思います。
やっぱり無口な人って、おしゃべりな人が好きなんですか?(笑)ホドホドね・・・。なるほど(^^)
長澤まさみちゃんは映画の方ですね。私はドラマの方の綾瀬はるかちゃんの方が好きかな~。かわいい~(^^;
by 猫たぬき (2006-08-15 03:50) 

猫たぬき

こんばんはウチータさん(^^)さすが本職。いいこと仰る(^^)
「自分の言葉で話してね。あなたの想いが伝わりやすいから」って、それもう愛ですよね。仕事とは言え、まさしく「あなたのことが知りたいの」ですもんね(^^)
と、言うことはウチータさんも、愛の告白は直接直球派ですか?!(笑) 確かに、夜中に書くラブレターってのは、朝読み返せとか言いますもんね。友達の経験によるとものすごい赤面トーク炸裂してるみたいですよ。自分に酔ってる?! 速攻自分で破り捨てたらしい・・・読ませて欲しかったな~(笑) ちなみに私も、ラブレターより、当たって砕けろタイプでした。直球過ぎて粉々に砕けることも多かったですがね(^^)
by 猫たぬき (2006-08-15 03:59) 

ウチータ

私はラブレター派でしたよ(笑)。書いている自分に酔ってましたね、当時は。
しかし、もらったほうの立場で考えて、「もし好きでもない相手に、こんなものをもらった日にゃー・・・。」と考えると恐ろしくなって、友達からはじめるパターン→口頭で告白型になりましたね(笑)。
by ウチータ (2006-08-15 04:04) 

猫たぬき

こんにちはウチータさん(^^)おや?! 意外にもラブレター派だった?(笑)
私はまず字がキレイじゃないのでねぇ。とりあえずラブレターは無理かと(^^)
友達から始める→告白って上手くいく確率高いですか? 私はどうもねぇ、友達になっちゃうと、相手が私を女として見てくれないので、友達→恋人にはなったことないんだなぁ。好きな人が出来たら、木の陰からそっと見ている純情な乙女(ウソつけ)か、とっとと告白するか、どっちかだったな。
by 猫たぬき (2006-08-15 14:52) 

COLE

我がカミさんと結婚して子供ができてしばらくして 「夫婦の会話の中で子供以外のネタで話す時間がどれぐらいあるか 家族で写っている写真ではなくて夫婦二人で写っている写真はあるか」 ということを取り上げているテレビ番組か本を読んだことがあり カミさんとともにドキッとした経験があります その後の カミさんとの生活のあり方を考える大きなきっかけになりました  ここまで書いて気がついた そうだ本日始めにコメントしたコラムは 「きっかけ」は何ですか?! だった  
by COLE (2006-08-19 12:06) 

猫たぬき

こんにちはCOLEさん(^^) 子供が出来るとやっぱりしばらくは双方とも子供にかかりきりという生活になるのでしょうか? でも考え直すきっかけがあったってところがCOLEさん夫妻の素晴らしいところですね。普通は気付かずそのままになってしまうケースが多いと聞きますし。
COLEさんが「カミさん」って呼ぶ響き、何か好きだなぁ(^^)うちの殿は人に紹介するときは「嫁さん」と言います。
by 猫たぬき (2006-08-19 19:24) 

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