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学生、要注意?! 就職戦線、異常あり。 [お仕事の話]

 どうも、いらっしゃいまし。
さぁさ、今日もお茶を一服いかがですか?

 さて、六月も半ばを過ぎ、そろそろ企業が就職内定を出す時期じゃないですかね? 私たちが就職活動をしていた頃は、まだ協定みたいなものがあったらしいですが今はなくなったのかな? 優秀な人材が確保できない、と中小企業の社長さんが、テレビで嘆いていたのを見ましたが・・・。「学校」という小さな単位を終え、やっと大きな「社会」へと飛び出していく。今日のお題は「討論Ⅱ」です。ちょっと今日の中身は堅いです・・・。

 子供には「討論」が必要、と昨日のブログに書きましたが、当然大人にも必要です。夜中つけっ放しにしていたテレビから、インタビュアーが質問し企業の人事課の人が答える、という形式のドキュメンタリーが流れていました。内容は「イマドキの学生」について。
 どうやらイマドキの学生は、成績は良いのだけれど如何せん人とのコミュニケーションを取ることが苦手らしい。人事課の人の質問に、打てば響くような答えがすぐに返ってくることは少なく、どうもおどおどした感じの印象を受ける、と。それが、ペーパーテストの点が良い人ほどその傾向が強いそうな。親の言うとおり、勉強漬けの毎日で親の期待通りイイ大学に入った典型的なおぼっちゃまってとこですか・・・(牙をむく子トラちゃんではなく、大人しい子猫ちゃんだったのね)。
 そういう人は採用するのですか? とインタビュアーが聞くと、「いえ、一応△はつけますけど、最終的に採用するかどうかは考えますね」との返事。人事課の人が言葉を続ける。「いくらIQが高くても、社会に出たらはっきり言ってあまり役に立たない。現場で求められるのはむしろPQの方なんですよ。もちろん営業マンを育てるための研修はします。ノウハウも教えます。人材を育てるためにある程度金と時間がかかるのは仕方ないですしね。しかし」を言葉を切って苦笑いし「常識を私たちが一から教えるわけにはいかないですよ。会社は学校じゃないんだから」と言った。

 私が就職した会社は、いわゆる堅い職種だったので新人研修なんかもきちんとやりました。本社での研修、保養所を使って泊りがけのマナー研修もあり、一ヶ月に渡って給料をもらいながら「勉強」させていただいてました。今の時代、この研修にお金をかけるのが惜しいのでしょうね。一ヶ月、もしくは半年ほど研修だけに費やす会社もあるでしょうから、そこまでして育てて一年や二年で辞められちゃ企業はたまったもんじゃないでしょう。会社側からすれば、研修費を返せと言いたくもなります。
 私が就職した頃はちょうどバブルの中頃から終わりくらいで、その後は皆さんご存知の通り新卒採用が減り、中途採用ばかりが増えた景気低迷の時代に入っていきました。大企業は自分を守るために下請企業を切り捨て、新人研修のお金も惜しみ、リストラで人件費を減らし、そうやって何とか持ちこたえてきました。そのために倒産した中小企業は数知れないでしょう。でも、今、そのツケが回ってきたようです。中途採用で、とにかく即戦力になる人材だけを企業間で取り合いしていたことで、どの企業も新しい人材を育てることを忘れていた。仕方ないことかもしれません。明日の米代のために、とりあえずタンスの中に眠っている冬用の着物を売って急場をしのぐようなものです。それを責められないでしょう。しかし、静かに少しずつ自分たちの首を絞めていたことに気づかされるのです。団塊世代の人間が一気に退職してしまう2007年問題、果たして今からの人材育成で間に合うのだろうか?

 マナー研修は、私たちの仕事が接客業だったので、敬語の基礎、お客様との話し方、お茶の出し方、挨拶の仕方などを、マナー講師じきじきに教えていただきました(ちなみに敬語は、尊敬語・謙譲語・ていねい語の三つに分けられますが、私の敬語はかなり変です。ときどき三つがごっちゃになったりします。給料もらって勉強させてもらったくせにねぇ・・・)。そして、これは恒例なのか最終日に「討論会」というのがあるのです(今もやってるのかな?)。
 マナー講師が討論のお題を出します。くじで1グループ7~8人のグループを何チームか作り、そのお題についてグループ内で討論、表にまとめて原稿を作ったりしたのち、チームごとに発表するのです。何でも自由に発言してアイディアを引き出していくという徹底生討論(テレビでもありますね)。企画会議などによく使われる「ブレイン・ストーミング」というヤツですね。その時のお題は「甘え」でした。なぜこんなにはっきりと十何年も前のことを覚えているかというと、何と私の参加していたチームが講師の方に絶賛されたからなんです。
 「甘え」というお題に沿っていたら何を発表してもいいということだったので、私たちのチームはまずサブテーマを「学生と社会人の違いについて」として討論していったのです。私は小学生の頃からこういう討論が大好きで(無類の理屈好き♪)まさに水を得た魚のように発言しまくっていました。このチームはランダムに選ばれたにもかかわらず、なぜか無類の討論好きが集まり二時間という持ち時間ギリギリまで白熱したバトルを繰り広げていました。その後一時間で表や原稿作り。その後、くじ引きで選ばれた順に発表。私たちのチームが発表し終えると同時に、講師の拍手。「すばらしい!」と・・・。

 「学生と社会人の違い」って考えたことがありますか? まず誰かが言いました。「学生は親がかり、社会人は自立してる」と。
 あの頃の私たちは、お金を稼げるようになると一人暮らしをするか、会社の寮に入るか、例え自宅通勤であっても親に生活費として給料の一部を入れてたんです。それを当たり前だと思っていた。だから親は子供の生活にあんまり文句を言わなかった。酒を飲もうが、競馬をしようが、海外旅行へ行こうが、子供が自分で稼いだお金だから(貯金しなさいっ! とは言われましたね。宵越しの金は持たねぇ、みたいな性格じゃダメだ、と)。社会人になるというのはそういうものだと、どこかで思っていたんですね。ニートを含めて「親が子供を養うのは当たり前」と思ってる人からすれば、へぇ~って感じでしょうか。
 その「学生は親がかり、社会人は自立」から白熱した論理が飛びかい、最終的に「甘えと責任は相反するものである」「学生が甘えを捨てられるかどうかが、社会人への第一歩だ」という結論にたどり着きました。つまり自分で金を稼いでいようがどうしようが、どこかで甘えている限り一人前の社会人とは言えない、と。自分で自分の責任がきちんと取れるか、ということ。
 まとめると、「社会人とは経済的自立は当然のこととして、甘えを捨て自分で自分の責任を取れる精神的自立が出来たとき一人前と認められる」ってことですかね。今から考えたらまだまだ幼稚な考えだし、理想論だよな~と思いますが討論してたのが18才~22才までの若造でしたからね、講師も「この年にしては上等」と褒めてくださったんだと思います。

 企業の面接で、変わったものがあるそうな。これもたぶん夜中のドキュメンタリーか何かだったと思うんですけど(ずっとテレビつけっ放しにしてるんで題名を知らない番組をよく見ている)、面接の場面でした。面接官が、5人くらい並んでいる会議室で、コンコンとノックしてリクルートスーツを着た学生が「失礼します」と入ってくる。
 この次の展開、予想できますか?
 面接官は、何も言わないのです。ただ黙ってる。学生は、ドアの前に立ったままソワソワしている。面接官も、焦っている学生もひと言も何も言わない。時間だけが過ぎていく。一人の面接官が、時計を見て「はい、結構です。お帰りください」と面接終了を告げた。学生は怪訝な顔をして部屋から出て行く。次の学生を「どうぞ」と呼ぶ。コンコンとノックの音。同じような服装の学生が「失礼します」と入ってくる。同じような沈黙。学生が面接官に「あの、私、面接の順番間違えたでしょうか?」と聞くと、面接官のひとりがにこりと笑い、「いいえ。○○君ですね、どうぞ、お掛けください」と椅子を勧めて面接が始まるのだ。もしかしたらドラマの一部だったのかもしれない。シナリオ的にはすごくいい場面だもの。そう、最初の学生は、ひと言もしゃべることなく面接に落ちたのだ・・・。
 自分の考えていたのと違うシチュエーションに陥ったときに、素直に人に質問ができるか? ってところを見たかったんでしょうね。道に迷ったら、歩いている人を呼び止めて尋ねるように。
 逆に言うと、人に尋ねる勇気、自分の意見、自分の考えをきちんと言える人は、就職先選び放題ってことですか。今、一番企業が求めているものはコミュニケーション能力らしいですから。

 う~ん、イマドキの面接は初歩的なことからやらないとダメなのね。私たちの時代の面接は、どれだけ人と違っているかが鍵だったような気がしますが・・・。(関西だけかしら?)
 会社の同期の人の話では、大学の同期でおもしろい人がいて、某ビール会社に面接に行き「失礼します」と部屋へ入った瞬間、面接官の側に置いてある花瓶の水を飲んだ振りをして「う~ん、やっぱり○○ビールは旨い!」と言った瞬間、「はい、君、内定」と言われたという逸話が残っているらしい。バブルの時代だからね。今頃その人は優秀営業マンになって、さぞかし出世しているだろうなぁ・・・。私の場合は制服でした。高校生は制服で面接に行くのですが、全身紺色の多い(リクルートスーツと一緒やね)制服の中で、うちの制服だけがなぜか浮いていた。白いワイシャツに、スカートとベストはグレー、ネクタイはエンジ、ブレザーが紺というもの。団体面接の中で浮いてしまうものだから、何故か何度も質問される。難しい質問じゃなかったから答えられたけれど、あの時不得意な質問をされてシドロモドロになっていたら落ちていたんでしょうね。今頃冷や汗・・・。そういえば変な勉強もしてたなぁ、読んでいる本は何ですかと言われたらこう答えるとか。ちゃんと読んで感想も言えるようにしておくとか。そんな質問ひとつもされなかったような気がするけど・・・。

 今日はお題の「討論」からかなりズレてしまったような気がしますが、人事の方のおっしゃってた「常識を会社が教えるわけにはいきませんよ、会社は学校じゃないんだから」というセリフがすべてです。日頃から人とコミュニケーションを取っておかなければ、人生において大事な場面で言葉が出てきません。討論だけじゃないですけど、自分は何が好きで、何が嫌い、自分はどう思っているのか、そういうことをちゃんと人に伝えられるようにしておかなければならない。学校はお金を出して勉強を教えてもらうところだけど、会社は自分という人材で利益をもたらさなければならないところです。会社から給料をもらうのです。こちらがお金を出すのではなく、相手からもらうのです。もらうためには、その金額にみあった働きをしなくてはならない。社会人になるとは、その仕事のプロになるということなのです。
 もう子供の時のように、欲しいおもちゃを買ってもらうために泣き喚くワザは使えません。甘えはもう通用しないのです。

 いきなり討論が難しかったらまず本を読みましょう。インターネットやニュースで情報を得ましょう。誰だってひとつくらい好きな題材の本やニュースがあるでしょう。本を読むことで情報を得たり知識を得たりします。それを人に話すことで会話が成立します。本なら「この本おもしろいよね~」だけでなく「どうおもしろいのか」「どう感動したのか」を自分の言葉で相手に伝えるのです。相手も自分の考えを自分の言葉で教えてくれるでしょう。そうすると、自分には見えなかったことが見えてくるのです。相手が自分に与えてくれるだけじゃない。自分が相手に与えることも出来るのです。それが人とコミュニケーションを取るということなのです。
 昨今は、昔ほど家庭団欒がなく、個人個人自室を持ち一見裕福な生活をしているように見えます。しかし物質の豊かさが、すべての豊かさではありません。人とコミュニケーションを取ることも豊かさのひとつです。形のないものをやり取りすることで、人は豊かになるのです。企業も、頭の良い人形だけを求めているのではありません。自分の中で自分の言葉を持ち、人とコミュニケーションの取れる心豊かな人材を求めているのです。

 ちょっと前のベストセラーの本に「甘えの構造」というのがありましたね。読んでませんが・・・。私はどうもベストセラー物は読みたくない主義なんですね。へそ曲がりというか頑固者。有名どころより、人があまり読まないものを読む。アガサ・クリスティーより、カトリーヌ・アルレーとかね。他にも人が「何それ?」という本を探してきて読むのが好きです。
 話は変わりますが、よくドラマにも実際にも「責任を取らせていただきます」と言って辞表を提出するシーンがありますよね。会社が大変なことになってるのに辞めりゃいいんでしょって態度、どうかなあと思うんですけど皆さん、どう思われます? もちろん今社会で騒がれているような、会社や組織の威信を傷つけるような事件をおこしたり、疑いをかけられるような人は辞任すべきなんでしょうが。権威にしがみつく姿を見てるとものすごくみっともなく思える。これがほんの数百年前は、武士や侍だった日本男児なのかと思ったら情けないですね。織田信長の潔さを見習え、と言いたい。

 ちなみに題名の「就職戦線、異常あり」は、90年代に公開された織田裕二氏主演の映画「就職戦線、異状なし」からもじりました(全然もじってないけど)。異状を異常としたのは、状態が異なるというより、正常ではない、という感じから字を変えてみました。マッキーの「どんなときも♪」が流行りましたね。2007年問題で、就職率が高くにわかに景気が上向いているように見えますが、そのぶん就職してからが大変なのも事実。学生の皆さん、「甘え」を捨てて立派な社会人になってください。その昔、社会人であった私からエールを送ります。

 さてさてお茶にしましょう。今日はちょっと堅いネタでくたびれました。熱い日本茶に、買い置きしている大好きな「お茶くっきぃ(お茶の葉が入っているのだよ)」をいただきましょう。
 それでは、またお逢いしましょう。


2006-06-24 03:27  nice!(3)  コメント(4)  トラックバック(0) 
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COLE

連続でコラム しっかりとした内容 かなり熱入っていますね!

今回のワールドカップサッカー、これもいろいろ考えさせられました。
ジーコ、中田、そしてその他という括りができると思っていますが、ジーコのメッセージはチームに届かなかった。私にはジーコの思いがよくわかる気がしています。今日の新聞にでていた「日本に欠けていたのはプロフェッショナリズムとしての自覚である」という言葉の重さを感じるのです。本日の猫たぬきさんの就職戦線の話と重ねると面白いです。中田もそのことを日本チームに伝えたかったんだけどできなかったんだとおもいます。でももっと方法はあったかもしれない。たとえばワールドカップに賭ける思い、プロとしての仕事の重さを、この1年間は日本でプレーして伝えることもできた。でも彼はヨーロッパにとどまった。何でだったんだろう。

私は若い世代にそう悲観的になっていません。自己表現方法がずいぶんと違っていることは事実ですが新しいエネルギーを持っていることも事実です。4年後のワールドカップサッカーは、きっと素晴らしいものになっていると確信して心いっぱい応援していきたいですね。
by COLE (2006-06-25 01:42) 

猫たぬき

こんばんはCOLEさん(^^)コメントやnice!を見るたびに、やったぁCOLEさんからもらっちゃった!って嬉しいです。そうですよね、中田選手の想いがもっと他の選手に伝わってたら・・・って思いますよね。その無念さが試合終了後の中田選手のピッチでの姿だった。プロとしての仕事の重さ、伝えたかったでしょうね。でもそれ以上に自分自身の志の高さを維持するためにはヨーロッパでのプレーが必要だったのかも・・・? 彼は天井を決めずにもっともっと高みへって考えてる人なんだと思うんです。そんな自分を見て、他の選手に感じてもらいたかったんじゃないかな。「教える」ではなく「自分自身で感じて」プロになってほしいって思ったのかも・・・(「人の痛み」で書いたような感じですかね)。
中田選手のホームページをときどき拝見してるんですけど、彼が一番大事にしてるのは「誇り」なんですって。私、これって人間にとって一番大事なものだと思うんです。
by 猫たぬき (2006-06-25 02:01) 

ウチータ

はじめまして、私は企業の採用担当です。
この年になると、自分の学生時代はさておいて、いろいろ今の若者に言いたいことが満載になる年頃なのですが、こういう話は、学生に話すよりも、新入社員に話すネタなのかもしれませんね。
この仕事は、学生まではお客様。入社すれば威張れる後輩になるもんですから(笑)。
by ウチータ (2006-06-28 19:23) 

猫たぬき

ウチータさんはじめまして(^^)採用担当の方からコメントいただけるなんて感激です。やっぱり学生に何だかんだと説教しても社会人になってみないとわからないもんですよね。しかし、昨日のお客様が明日の部下、とは。イイですね! それが一番わかりやすい!
by 猫たぬき (2006-07-03 10:19) 

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