猫たぬきの、気ままカフェでのんきにお茶を。

私の「楽天家」精神論。　[私の精神論] [編集]

　どうも、いらっしゃいまし。
今日は、あなたの心を癒すお茶をご用意いたしました。

　さて、最近はどうも恋愛ネタに走る傾向が増えて（昨日は「男が男に惚れるとき」だし・・・）、ちょっとネタが偏っているようなので、ここらでちょっと原点に返ってみましょう。
　先日バトンを受け取っていただいたＣＯＬＥさん（当カフェご常連さま）にコメントでいただいたことで、ちょっと自分自身を振り返ってみたくなりました。
　本日のお題「楽天家の作り方」であります。

　わたくし、猫たぬきは、自他ともに認める「気まま」「ワガママ」「楽天家」でありますが、確かに、気まま、ワガママは認めましょう。これはおそらく「三つ子の魂百まで」の性格でしょうから。しかし、この楽天家というのは、生まれたときからの性格ではありませんでした。私は、楽天家に「なった」のです。
　今日は、その経過をお話しましょうか。今日のお話は前編だいぶ暗い話ですので、お嫌いな方はすっとばしてお読みくださいね。

　私は、このブログを開設する数年前に、ほんの一時期「精神的な病」に陥っていました。もちろん、病院へ行ったわけではなく自己判断ですが、おそらく病院に行ったら何らかの精神的な病の名前を医者に告げられただろうと思います。
　朝起きることが辛くて辛くて、朝陽を美しいと感じられない。反対に夜全然眠れないときもあった。外出することもなくなり、家に閉じこもりっきり。とにかく朝昼晩、何もする気が起こらなくて、茶碗ひとつ手に取るのも、電気のリモコン押すことすら億劫で、日が沈んでも殿が仕事から帰るまで、暗い部屋の中でひとり寝転んでいたこともあった。食べ物の味がしない。だから食欲がわかない。食べない。そんな日が続いて、立ち上がるとフラフラすることもあった。
　殿は病院へ行くことを薦める。もちろん私も行くべきだし、行かなくちゃとも思った。しかし、病院へ行って「あなたは何々という病気ですよ」と言われた瞬間、「ああ、やっぱり病気だった。通院して治そう」と安堵するのか、もう二度と普通に戻れないんだと狂気するのか、私には判断がつきかねた。もし、後者だったら、私は二度と立ち直れないかもしれない・・・という思いがあり、私は病院のドアを押すことをためらう日が続いた。

　そんな生活がどれくらい続いただろう。
　殿は、そんな私によく付き合ってくれたと思う。
　あのとき、普通の男なら「何で仕事から疲れて帰ってきて、そんな辛気臭い顔見なきゃなんないんだ!!」と怒鳴り散らしても不思議じゃない。逆の立場でも、ウンザリすると思うもの。
　ぱっぱとやれば、ものの二、三時間で済む家事を、一日がかりでするものだから、殿が帰ってきたときに、まだご飯も炊けていないという日もある。自分に味覚がないから、何を作ってもボケた味の料理になる。味見をしても、味を感じないからだ。
　それでも何の文句も言わずに食べてくれて「おいしかったよ。ごちそうさま」と言ってくれる。
　「洗濯してくれてありがとう」。「掃除は無理してしなくていいよ」。「しんどかったら寝てなさい。ごはんは自分で何かするから」。
　普段は無口な殿が、あのときは、どれほどの優しい言葉をふんだんにかけてくれたか知れない。
　いつもいつも「無理しなくていいんだよ」と言ってくれる。
　何も無理なことはないのに。主婦なら、みんなが当然のようにこなす家事なのに。そんなことすら一人前に出来なくてどうするの・・・。

　優しくされればされるほど、自分を責めたり。甘やかされればされるほど、自分はダメな人間なんだと卑下したり。「つける薬はない」とはこのことだと、自分自身で思った。
　冷たくされたら死にたくなるほど辛いだろうし、優しくされたら自分を責める。
　どうやったら、この思考回路がまともになるのか、それすらわからなかった。
　何も考えたくないからと、一日の半分以上を眠って過ごしたこともある。眠りたくないのに眠るのは疲れる。それだけで神経が尖ってくる。何も悪くないのに、殿に当たることもあった。そして自己嫌悪に陥る悪循環。顔から表情というものが消え、次第に鏡に映る自分を見るのも嫌になった。
　「明るい」「元気」「気まま」「ワガママ」「ノー天気」というキーワードの、昔の私がウソみたいだ。もしかしたら、本当の私はこっちなのかもしれない。無表情で、陰気で、覇気のない女。これが本当の私なのかもしれない。

　人間は、三つの顔を持つという。
　「自分の知っている自分」「他人の知っている自分」「自分も他人も知らない自分」
　私たちは、ふたつの顔は知っている。だけど、第三の顔は誰も知らない。誰も知らないはずの「本当の自分」を覗いてしまったのかも・・・？　そんな風に考えたりした。

　たぶん、これがきっかけだったのだろうと思う。
　何かについて突き詰めて考える。
　何もやる気が起きないのなら、何もしないでいてみよう。その代わり、頭をフルに活用しよう。何かを考える。何でもいい。体が働きたくないというのなら、頭だけはエンジン全開で働いてもらう。
　それから毎日あらゆることを考えた。くだらないこともいろいろ考えた。
　しかし、一番興味があったのは「自分」だった。ナルシストというわけではないが、「自分」って何なんだろうって、すごく興味が沸いたのである。
　今、こうやって家の中で何もせずに、うずくまっている「自分」。世の中の何の役にも立たず、何もせず、呼吸だけして、殿という夫の庇護のもと、守ってもらうしか出来ないちっぽけな「自分」。
　「自分」って何だ？　「私」って何？　

　私に出来ることって何？　何が出来るの？
　一生懸命考えた。自分に出来ること、出来ないこと。
　今まで生きてきて、あれほど「自分について考える」ことはしていないかも知れない。学生の頃も、社会人になってからも、恋愛中も、結婚してからも。
　悩みはその都度、何かしらあった。不満もあっただろうし、愚痴もあった。しかし、その悩みが何となく解決すると、そのまま悩みの根本を探ることなく流れていった。
　風邪を引いて、何となく治ったからと薬を飲まずにやめてしまうようなものだ。

　考えて考えて、朝から晩まで考えて、眠れない日は夜中もずっと考えた。幾度、日ごとに形を変えていく月を見て、空がだんだん明けていくのを見ただろう。
　毎日、月はかたちを変えていく、空は毎日違う色で明けていく。そんな当たり前のことを感じた。地球は動いていて、世の中も私に関係なくずっと動いている。時間はどんどん流れて、私はまだ同じところに留まったままだ。何の成長もなく、何の進歩もない。
　いいの？　いいの？　いいの？
　そんな声がした気がする。
　いや、ダメだ!!
　そのとき、思った。
　このまま流れる時間に任せて、ただ年を取るわけには行かない。何もせず、何の成長も進歩もなく、ただ呼吸をしているだけなんて嫌だ。何かがしたい。

　じゃあ、何を？
　また声がした気がする。
　何がしたいの？　何が出来るの？
　そのとき、答えが出た。
　まず・・・笑いたい。

　「何がしたい」という答えに「笑う」とは、何とも情けない回答かもしれない。
　でも、私が一番したいことはそれだった。
　笑いたい。
　自分はいつから笑ってないだろう。涙は散々流しつくした。何も悲しいことがなくても、いきなり涙が溢れてとまらないこともあった。殿が心配するからと、トイレや風呂場で泣いたり、ベランダに出て声を殺して泣くこともあった。目が腫れることは日常茶飯事だった。
　もう、そんなのは嫌だ。
　私は、笑いたい・・・。

　そう思った瞬間、何だか肩の荷が下りたというか、憑き物が落ちたというか、すーっと何かが引いていくような気がしていた。もしかしたら、あのときの私は、精神的な病ではなくて、何かが憑いていたのかもしれない。
　自分のしたいことが、まず「笑う」ということに気付いた瞬間、自嘲的に笑えた。それが第一歩だった。こんな簡単なことに、これだけ長い間苦しんでたんだ、と・・・。
　それから、少しずつ食欲も出てきた。何を食べても味がしなかった味覚が戻ってきた。テレビを見て笑うこともあった。殿と会話することも増えた。じょじょにではあるが、前の自分を取り戻しつつあった。でも、明らかに前とは違う自分がいたと思う。

　一生懸命夜中から明け方までひとりでじっと、「自分に何が出来て、何が出来ないか」を突き詰めて考えたことは非常に収穫だったと思う。
　私という「ちっぽけな存在」だけど、出来ることはある。出来ないこともわかった。それが、この期間の私が得たものだ。
　「人生にムダなこと、意味のないことは何もない」
　私がしょっちゅうブログに書いている言葉だ。

　私はブログで、いろんなことをぶっ放しているが、みんな自分で経験したことばかりなのだ。
　人は、経験していないことは自信を持って言えない。
　私は、ニートには厳しくて、引きこもりにはちょっぴり甘いのは、自分自身のことがあるからだ。
　引きこもりが病気によってなら、病院に通って治療するなり、私のように自力で考えて何とかするなりすべきなのだ。
　ニートが許せないのは、何もせず、何も考えず、そのうち何とかなるさと思って、自分に許されている限りある時間を無用に使って生きているからだ。
　何も考えず、何もしない人間は、どんなに時間を与えても、何ともならない。ただ、無用に年を取っていくだけだ。

　花は、何もせずに枯れていくわけではない。種から蕾になり花を咲かせて枯れていく。それが花にとって「精一杯生きる」ということだから。
　人間として生まれてきたということは、何か意味がある。大きなことを成し遂げるとか、歴史に名を残すとか、そんなことじゃない。
　人間は、笑うこと、考えること、感動すること、が許されている動物なのだ。

　私は、何の特技もない普通の主婦だから、特別なことは出来ない。
　そんな私に出来ることは、家事と、いつも笑っていることくらいだ。まず自分が楽しくなければ、周りの人を楽しい気分にさせることは出来ない。私が笑えば、殿も笑ってくれる。そう、夫婦はお互いを映す鏡なのだから。
　私に出来ること。
　おいしい食事を作ること。
　毎日洗濯して、清潔なシャツを着せて殿を会社へ送り出すこと。
　部屋をキレイに掃除しておくこと。
　殿が仕事から帰って来たら、いち早く寛げる空間を作ること。
　おいしいお茶を淹れること・・・。
　だから、私は自宅でカフェを営んでいる。殿だけがお客様のホームカフェだけれど。
　おいしいお茶とおいしい食事。そして、寛げる空間を、殿だけのために作ってあげることが、今の私に出来ることだから。
　妻が、毎日笑って幸せにしていることが、殿にとっては一番良いことだと気付いた。

　あの暗い顔をして、何もかも嫌だ嫌だと嘆いていた私に、ずっと「無理しなくていいよ」と言い続け側にいてくれた殿だから、今度は私が殿に何かしてあげたいと思った。
　でも、私が特別何もしなくても、殿は幸せでいてくれる。とりあえず私が、「元気」で「笑って」「幸せ」で生きてたら、それだけで良いみたい。そんな幸せもあるんだね。

　人生、気まま、ワガママ、ノー天気。ケセラセラ。楽天家。
　今の私にはいろんな形容詞があるけれど、楽天家は「なろう」と思って「なった」のである。
　
　明けない夜はない、止まない雨はない、どれだけ暗い闇の中にひとりでうずくまっていても、時間は朝陽を連れてくる。激しい雨に打たれていても、いつか厚い雲から太陽は顔を覗かせる。
　闇を知ってるから、明るさが解る。雨の冷たさを知ってるから、太陽の暖かさが解る。

　これから先、何も悩まないとは言えない。でも、私はあれほど苦しんで悩んで考えた経験があるから、もうそれくらい怖くないという自負がある。ときどき、深く考えごとをするとき、食べ物の味に鈍くなる。そんなときはちょっと注意している。そうやって、自分の中で処理できるくらいになった。
　何もムダなことはない。意味のないことはない。何もかもが私の生きていく糧になる。

　それからしばらくして、殿がこのブログを開設してくれた。
　世界中の（と言っても、ソネットブログを見てくれている一部の人だけだけど）人と文字でつながることが出来る。
　私に出来ることなら、何でもしてあげる。それでその人が幸せになるならね。
　私には、世界中の飢えを助けるお金はないし、世の中の悪を成敗する権力もない。だけど、辛く苦しんだ分だけ、ちょっとだけ強さがある。
　私に出来ることは、こうやってブログを書いて、人に読んで楽しんでもらうことだけ。
　私の「幸せ」を少しだけおすそわけすること。
　それで、世の中に「愛」と「幸せ」が蔓延ったら、とっても嬉しいのだけれど・・・。

　このことは本当は１００回記事に書こうと思って取っていたのですが、ＣＯＬＥさんからいただいたコメントに触発されて書いちゃいました（＾＾；
　「書きたい!!」と思う気持ちはナマモノですからね。新鮮なうちにお届けします♪

　それではお茶にいたしましょう。私を、殿を、そしてこれを読んでくださったみなさまを幸せにする魔法のお茶、ジャーマンカモマイルティーをいただきましょう。
　カモマイルは、世間一般にはカモミールと呼んだ方が解りやすいかもしれません。
　キク科の植物でマーガレットに似た白い花です。和名はカミツレ。古代ギリシャでは「大地のリンゴ」と呼ばれ愛されたと言います。カモマイルの花言葉は「逆境に負けない強さ」。
　ほのかにリンゴのような甘さを感じるハーブです。紅茶とブレンドしても、シングルハーブティーでも、お好きな方でどうぞ。
　それではまた、お逢いしましょう。