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間違いだらけの「義務」と「権利」。 [ニュース関連に思うこと]

 どうも、いらっしゃいまし。
お好みのお茶を、どうぞ?

 さて、昨日の男女平等問題についてのコラムの反響があることから、どこの職場も多かれ少なかれ問題があるんだなぁと、改めて思った次第です。私が正社員での勤め人であったことは、かれこれ10年前、その頃から雇用事情はいろいろ変われど、男女平等問題はまったく変わっていないのだなぁと思いました。
 今日は最近のテレビ番組を見て思ったことを書きます。説教するほど人間が出来ているわけではないので、思ったことをだらだらと書くだけでありますが・・・。二日続けてお堅い話題ですが、本日のお題は「義務と権利」です。

 昨今、ニート対策などがあれこれあるそうですね。まず家の中から引っ張り出すという意味で、共同生活をさせるところから始める施設とか。どうも・・・何だかなぁ~、と思うのは私だけではないはず。と、言いますか、私なんかよりもっと上の世代の方からしたら、「この穀つぶしが!!」と怒鳴りたい心境でしょう・・・。

 私が就職したのは、バブル期にややかげりが見え始めた頃。しかしまだまだ好景気であった時代です。その頃は、今のように「働く意味が見出せない」などと、ニートの言う戯けたことなど誰も言い出す奴はなく、高校三年となれば、進学か就職か、という現実的な選択に、何の疑問もなく答えを出していました。「学校を出れば働く」。自分の生活の面倒は基本的に自分で見る。これは当たり前のことであり、誰も疑うことなどしなかったものです。

 私は「引きこもり」と「ニート」は基本的に違うと思っています。
 引きこもりは、病気の人もわずかながらいるかもしれない。対人恐怖症とかね。まずそれを見極めなくてはならない。病気なら、病院で治療するより他はなく、親は子供を引っ張ってでも病院へと通わせなくてはなりません。なぜなら「かわいそうだから」と、何となく甘やかし、養い、放置したまま、自分たちが先に死んでしまうことの方が、対人恐怖症の子供にとっては残酷なことだからです。決して親は子供より長生きはできないのですから。
 そして、それ以外のいわゆる「ニート」と呼ばれる人たち。どこか体が悪いわけでもなく、ただ一日ずっと家に居て働かず親に養ってもらっている人たち。「働く意味が見出せない」とは、良く言ったもので、要は「働きたくない」だけなのです。「働けない」明確な理由がないから「働かなくて良い」理由を一生懸命探しているのです。それを考える時間は、売るほどあるのですから。

 私たちの世代でさえ、働く=食い扶持を稼ぐ、であり、働かずして親に食べさせてもらおうなどとは夢にも思わなかった。昔の人たちみたいに、働いて親を楽させてあげよう、などとカッコイイことも考えてませんでしたが・・・。少なくとも巣立ちというか、最低限、親に迷惑をかけない程度に自立しなければとは考えていました。
 私は一人暮らしの経験はなく、結婚するまで親元で暮らしておりましたが、毎月、給料の約三分の一、家に食費及び住居費として入れていました。一人暮らしをすれば、それくらいのお金はかかるものであり、金額の多い少ないはあれども親元から会社に通う人間は、そうすることが当然と思っていたものです。何も疑うことなどなかった。それが今では、親にお金を入れるどころか、働かずして親に食べさせてもらうという・・・。時代が変わった? いえいえ、人間が堕落し始めたのです。

 テレビ番組でよく言われるのは「社会に希望が持てないからニートになるのだ」という意見。そうでしょうか? 社会に希望が持てなかったら、働かなくてもいいと? 人間が食べずに生きていける体を手に入れたなら、それも可能でしょう。食い扶持を稼ぐ必要がないのですから。
 しかし、ただ家で寝ているだけでも腹は減る。座って半畳、寝て一畳。その布団を敷くスペースにだってお金はかかるのです。お風呂に入れば、水道代、ガス代、シャンプー代・・・ともろもろのお金がかかる。そのすべてを親に賄ってもらおうとは。しかも、自分は何の労働もせずにです。その精神がわからない。
 ニートの親というのは無類の金持ちなのでしょうか? 何もしなくとも毎日お金が降ってくるような? そうではないでしょう。親が働いているから、ニートが成立するのです。

 昔見たドキュメンタリー、おそらくニートのハシリだった頃の深夜番組です。日本に来て働いている外国人に「ニートをどう思うか」と意見を聞いたら、開口一番「その人たちはどうやって食べているのか」という質問が返ってきました。そりゃあ不思議に思うでしょう。
 新人類と呼ばれ、団塊世代の人たちから好奇の目で見られていた私たちの世代。しかし自立することは当たり前だと思っていた私たちですら、理解出来ないニートを、働いて親に仕送りすることが当たり前の外国人からしたら「ニート」は奇異な存在でしかない。
 そして、その番組に出ていたニートの一人はこう言いました。ちょっとセリフは違うかもしれませんが(うろ覚えなので)ニュアンス的には間違ってないと思います。
「親に金出させて何が悪い? 親は子供を養う義務があるでしょ? 当然の権利じゃないですか」
 彼は大学生になった途端、学校へ行かなくなり、引きこもり、そのままニートになったらしいですが、・・・よくも平気で「義務」とか「権利」なんて言葉を使えたものです。
 大学に受かっただけあって、アタマは良いみたいですね。ただ使い方を間違っている。いや、知らないだけか。
 確かに、甘やかした親にも責任があると思います。大学へ行かなくなった時点で、どうにかすべきだった。大学を辞めるなら辞めるで、仕事を探して就職しなさいと言うとか。でも、とっくに成人した子供にそうやって親が意見するのも、いかがなものかと思いますが・・・。

 親鳥は、小鳥に飛び方を教えます。それは、大人になった鳥が、巣から飛び立っていくためです。生まれたての小鳥は、巣の中でピーチクパーチク口を開けて、親鳥がエサを運んでくれるのを待っています。しかし、それは大人になるまで。羽が生えて自分で飛べるようになったら、鳥は巣から巣立って行きます。それが巣立ちであり、自立なのです。
 親鳥は小鳥に羽が生えるまで、エサを運び続けるのは親としての義務であり、エサを食べさせてもらうのは小鳥の権利かもしれません。しかし、とっくに羽が生えそろい大人になった鳥が、巣の中でいつまでもピーチクパーチクとエサを待っている姿は滑稽です。笑い話です。
 しかし、今の社会でニートを抱えた家庭は、親も子も、何の疑問も持たずにその滑稽なことを実際にやっているのです。

 「権利」とは、きちんと「義務」を果たしてこそ、行使されるものである。
 私はそう思っている。親が子を養うのは「義務」だが、それは大人(学校を卒業する年)になるまでのこと。それ以上の年齢になってまで「親が子を養うのは義務だ」とは、ちゃんちゃらオカシイ。
 自分と同い年のニートが、この前テレビで「親に養わせて何が悪い」みたいなことをぶっちゃけていたが、見ていて恥ずかしくなった。自分と同じ世代が、痴漢や下着泥棒で捕まったり、ニートになってたりすると、とても恥ずかしい気がする。自分のことを立派な人間だと思ったことは一度もないが、少なくとも、公衆の面前でああいったバカな言動をすることを、「恥だ」と思えるまともな感覚を持ち合わせていることに、ホッとしている。

 親の感覚にも少し触れておく必要があるかもしれない。私が就職を決めるとき、親は一切何も言わなかった。私が意見を求めたときだけ何かしらの助言をくれたが、「ここへ就職しなさい」とか、強制は一切なかった。そういえば、昔から「何々しなさい!」と強制されたことはあまりなかったなぁ・・・と、振り返って思う。「勉強しなさい!」とは、どこの親でも言うが、私の親は、「まあ、勉強しなくて困るのはお前だからね」と言うだけで、無理やり塾へと行かせたりすることはなかった。
 「そういう親の態度が子供を非行に走らせるんやで」と昔言ったことがあるが、うちの親は止める代わりに「走りたかったら非行だろうが、車道だろうが、行って走りゃーええやん」と言った。(今考えるとあれはギャグだったのだろうか・・・?)「ただし」と条件がつく。「自分の行動は自分で責任の取れる範囲でしなさい」と。何か問題を起こして警察から親が呼び出されても一切知らんと言うのだ。「自分が起こした問題は、自分で何とかしなさい」と。そう言われると、何だか非行に走るのがバカバカしい気がしてくる。もともと非行に走るとは、寂しいとか、もっと自分に構って欲しいとかが引き金になるみたいだが、ほったらかされるなら非行に走る意味がない。
 うちの親は、一風変わった子育てをする人だった。そうやって逞しく(?)育てられた。唯一、結婚の時だけは、「まだ若いんだから急がなくても」と言ったが、それでも反対することはなかった。
 学生の頃は、放任主義な親を「愛情薄い人だなぁ」と思っていたし、母子仲が良い友達とかを「良いなあ」と羨ましく思ったりしたものだが、それはそれで、親の愛情だったのかもしれないと今は思う。甘やかすことが親の愛情じゃない。子供に自分で考えさせて行動させることも、親の愛情のひとつなのだ。
 今の親に、そんな感覚があるだろうか? ニート自身の意識改革と共に、親の方の意識改革も必要ではないか、と思う。子供を愛することと甘やかすことを一緒くたにしては、決してニート対策は出来ないということを、しっかりと解っていただきたい。

 先程、「権利」を主張するには、「義務」を果たしていなくてはならない、と言ったが、今のニート諸君に是非とも聞いてみたいことがある。
 もし、あなたの親が定年になったら? 親が病気になったら? どうするつもりですか?、と。
 「養うのが義務」の親が、あなたを養えなくなったらどうするのか? 「権利」を主張しても、現にお金がなければ養うことは出来ない。親が病気になったら、お金はもっと切実に必要なのだ。そのとき、親を見捨てて逃げるのか、今度は自分が親の面倒を見るために「働く」と言えるのかどうか。

 親と子は、義務と権利で成り立つものではありません。親は子供を「将来面倒見させるために」産むわけではなく、子供も「親に一生面倒見させるため」に生まれてくるものではありません。
 親は子供を愛しているから産み育てるのであり、叱咤激励し社会へと送り出すのです。子供は、親を愛しているから、親が年を取り病気をしたら心配し、面倒を見ようと思うのです。
 しかしながら今の社会、親の面倒を見てあげたい気持ちはあっても、自分の持つ家族だけの生活で精一杯だというのが現状。それは親にもわかります。だからこそ、親は自分たちの面倒はなるべく自分たちで見られるように、老後の資金を蓄えているのです。
 それをニートが「親の義務だ、子供の権利だ」と言って食い荒らすことはしてはならないのです。

 「ニート撲滅」とか言っていますが、どうやって撲滅させるつもりでしょうか? だいたい「撲滅」って・・・打ち滅ぼす、完全に退治すること、だよ? 信長の比叡山焼き討ちのように、ニートを一箇所に集めて見せしめに焼き討ちするわけにいかないでしょう。
 「ニートを社会からなくす」ためには、ニート自身に自覚させなければならない。それを社会がどうやってやるというのか? やる気のある人間を、もっとやる気にさせるのはテクニックひとつでどうにでもなるが、やる気のない人間に、やる気を起こさせるのは至難のわざなのです。
 「社会に希望が持てないからニートになるのだ」などとは言っていられない状況が、遅かれ早かれやってくるのです。
 そのためにどうするか?

 それはニートが自分自身で考えましょう。何のために頭があり、脳味噌が詰まっているかを考えるいい機会です。
 まぁ・・・私自身、ノー天気で、ケセラセラな人生だと思っていますが、私は自分で何事も考えて選んできた。例えそれが間違った選択であったとしても引き返すことは可能だし、人生は何ひとつムダなことはなく、意味のあることだと思っているから、自分の選択したことを後悔はしない。
 人生で一番悪いことは、何の選択をしないまま「何とかなるさ」と生きることだと思っている。
 「ニート」は、自分の人生の中で、何かひとつでも選択したことがあるのだろうか?

 ひとつ言えることは、社会が「ニート対策」に手を貸してくれている今が、抜け出すチャンスだということ。その手を掴み損ねると、自分で自分の首を絞めることになる。
 いつまでも親も社会も甘やかしてくれるはずはないし、経済的状況が許さないときが必ずくる。ただでさえ借金だらけの国が、ニートを養うための金を出せるはずがない。
 今、自分が浸かっているぬるま湯も、いつまでも心地よい温度ではないということ。いつか、冷たい水に変わり、社会からも取り残される日が必ずくるということ。少しは心に留めておくことが必要ではないでしょうか? そのうえで、どんな結末になろうとも、ニートで居続けるという覚悟があるのであれば、それはそれで自分の人生ですから、お好きなように・・・。

 それではお茶にいたしましょう。どうも、こういう話を書くと疲れます。リフレッシュ効果の高い、レモングラスのハーブティーを。紅茶とブレンドしていただきましょう。
 それではまた、お逢いしましょう。


2006-09-12 23:27  nice!(0)  コメント(8)  トラックバック(0) 
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コメント 8

こんちはっす。
いや~深いっスねぇ、猫姉コラムは。
ニートねぇ。。。最終的には自己啓発するしかないんでしょうね(^^;

そいうやウチの親父も放任だったなぁ。
親父自身が「我が道を行く人」だからかなぁ?(苦笑)

面接、なんか拍子抜けでした(^^;
by (2006-09-13 17:45) 

猫たぬき

おお、カズぼん(^^) 面接は好感触だったようだね? 今そっち行ってきたよ。血の結果次第だね(笑) 昨日は不摂生しなかっただろうね?

でもなぁ。ニートの自己啓発を待ってたら、日本が先に潰れてるような気がするよ。張り倒してでもとりあえず働かせながら教育する方が良いのでは・・・? 国が(もしくは企業が)ニートだけを働かせる工場を作るとかね。もちろん監視役は付けて。じゃないとサボりやがるからね、おそらく奴らは(笑)

「我が道を行く父」ええやんか(^^) うちの母親もケセラセラな人だよ。元祖不思議ちゃんかも(笑)
by 猫たぬき (2006-09-13 18:49) 

猫姉、こんばんはっす(^^)昨夜は寝ました。ちゃんと(笑)
面接は。。。色々と考えていった割には呆気なくて(^^;

飛ばない鳥は死んでしまえ、とまでは言いませんが(^^;
飛ばなきゃ死ぬかも?死ぬの嫌かも?って自らが思わなきゃどうにもならないような気も。。。
日本は平和な国ですねぇ(苦笑)

まぁ僕の方も「何言おうが聞かないだろう」って思われてるフシもありますが(爆)
by (2006-09-13 20:07) 

猫たぬき

そうだねぇ。いきなり突き落とすわけにゃ行かないけど、鳥だから飛べるだろ!! とは思うね。死にたくなきゃ飛べ、と・・・(笑)
うちの弟は、小学生のとき水が怖くてカナヅチだったのだけど、そのときの担任が(女の人だったけど)、「男のくせに、何が水が怖いじゃあ!!」とプールへ突き落としたそうで・・・。弟は必死にもがいて手すりまで辿りついたそうさ。そりゃ、泳がなきゃ死んじゃうもの(^^;
でもそのあと、泳げるようになったし中学のときは三年間ずっと水泳部だったよ。人間変われば変わるものさ。まぁ、我が弟は、根性だけはあるんだよね・・・私にも少しわけていただきたかった!!(児玉清風にね♪)
by 猫たぬき (2006-09-13 20:44) 

kiyo

ばんわー(^^)v
うちも「働かざるもの食うべからず」の家庭でした。
子供の頃は勉強や部活動が働きであり、学校を卒業したら、
就職するのは当たり前という環境に育ちました。
なので、アルバイト先で同じ歳の「フリーター」という人種に
出会った時は、「なんで?なんでなんで?」(ザ・たっち風にね)。
フリーターは働いているからいいのかもしれないけれどね。
古い人間なのかもしれないけれど、「ニート」という人種は未だに
受け入れられないもの(受け入れる必要はないのかもしれないけれど)
by kiyo (2006-09-13 23:06) 

猫たぬき

おお。「働かざるもの食うべからず」(^^) 私もよく言われたよぉ。そうだね。そうやって育てられたんだよねぇ、私たちの世代は。
「フリーター」かぁ。そのネタについては、またコラムにしたいな。私は「フリーター」否定派じゃないから。
だいたい、ニートって「ちょっとカッコ良くね?」とか思ってるのが腹立たしいよね。うちのかーちゃんなら「この、穀ツブシがっ!!」って言うよ(^^;
by 猫たぬき (2006-09-14 02:33) 

COLE

ニートと義務と権利を結び付けるとは、いいところに目をつけていますね。 その昔、「あんなことするなんて、親の顔が見たい」という言葉が何かで話題になって、「見るまでもないだろうさ」と言ったことが記憶のかなたから呼び起こされてきました。 ようするに、ニート対策というのは、大人がどれだけ感動して毎日を生きていくのかということを、若い世代に見せつけること以外にないと考え始めています。そういうことを言う人が少なく、汚職や不正の事件が毎日起こる中で、ホリエモンなどが嘯けば若者はスーッとなびいてしまう。麻原も同じようなものだったと思います。もっともっと大人がしっかりせねば。
by COLE (2006-09-20 23:36) 

猫たぬき

私も思いました!!(^^) 「親の顔が見たい」って、その子供を年取らせたものがそっくりそのまま親だよ・・・って(笑)
「トンビが鷹を産む」なんて稀であって、やっぱり「蛙の子は蛙」なんです(^^;
ちょっと前のドラマで「大人がカッコよくないから、子供がダメになっていくんだ。将来に夢も希望も持たせてやれない大人が、カッコよくないから・・・」って言うのがあって、心に残っているんですが、ホントそれですよね。私たち大人が、もっとちゃんと生きて子供を指南しなければ。
宗教は、ちょっと特殊ですけどね。人間の一番弱いところを突付いてくる。弱い者は何かにすがらざるをえませんから・・・。もっときちんと「自分」を持てば、あんなのに騙されることはないのですが。
by 猫たぬき (2006-09-21 00:32) 

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