月とお散歩 [想い]
散歩は、真夜中に限る。
24時間のうちで、一番好きな時間は午前4時。
真夜中でもなく、朝でもなく。
漆黒から少しずつ明るい空色に変えていく、空と雲が織り成すオーロラのようなグラデーションが好き。
しかし、今宵は満月。
4時まで待っていたら、月は闇に溶けてしまう。
オレンジ色の月が、漆黒を明るく照らすとき、散歩に出たくなる。
でも、まずは。
月を肴に、スコッチを一杯。
氷を入れるロックだと、ウイスキーに「早く飲んで」と急かされているようなのでストレートで。
大きめのワイングラスにワンショット注いで、とろりとした琥珀色のスコッチの香りと味を、ゆっくりと楽しむ。
アロマキャンドルとスコッチ。
オレンジ色の満月。
極上の時間。
月がオレンジ色に見えるのは、たしか。
「光が通過するとき、青い光は拡散して、赤い光だけが目に届くため」だからだとか。
うん。ちょっとした照明のお勉強。
さて。
スコッチがワイングラスから胃の中へ収まってしまったら、お散歩の時間。
アルコールが体中の血とゆっくり混じりあっていくのを感じながら、ひんやりとした空気の中、
真夜中のお散歩。
月と平行に歩いていくと、月が一緒についてくる。
月と並んで一緒にお散歩。
肌にしっとりと冷たく感じる空気の中、少し酔ったアタマでいろんなことを考える。
ホントは、満月の一日前が好き。
まぁるく満たされる前の、ほんの少しだけ欠けた月が好き。
きっと、それはパズルと一緒。
完成させてしまえば、一枚の絵。
最後の1ピースをはめ込む前、それまでがパズルとしての醍醐味なのだ。
小説は続きが気になるから一気読みするくせに、変なところで気の長い私。
恋も然り。
これは恋なのか? 恋じゃないのか?
そういう微妙なところ、はっきりさせないところ。
そういうのが、満月の一日前に似てる。
ほとんど満月なのに。
ほんの少しだけ欠けた月。
それは、満月の一日後とはまるで違う。
同じなようで、同じでない。
ドキドキ? ワクワク? ソワソワ?
何ごとも、完成する一歩手前に、ドラマは存在するのかもしれない。
共通テーマ:日記・雑感
コメント 0