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真夜中の散歩 [想い]

真夜中というには、少し朝に近く、朝というには、あまりに暗い。
そんな、中途半端な午前4時。
私は、そっと散歩に出掛ける。

どの窓にもほとんど明かりはなく、皆が眠っている時間。
目覚めていない、夜の空気。
…夜の時間は音も光もなく、ただ静かに流れる?
否。
夜にも音が、光が、ある。
虫の音。用水路の水の音。新聞配達人のバイクの音。
月の明かり。星の瞬き。マンションの常夜灯。時折走るタクシーのテールランプ。ラスタなライブ照明のように色を変え続ける信号機。
夢や眠りを妨げない音や光が、真夜中には存在する。

夜の空気が好き。
月の明かりが好き。
星の瞬きが好き。
残暑厳しい昼間のような熱気はなく、ノースリーブのシャツでは肌寒いくらいの空気の中、ただ、歩く。

私は、四六時中、何かを考えている。
シナリオの題材だったり。
自分のこと、他人の気持ち。
取るに足らないこと。くだらないこと。
答えの出ることから、出ないことまで。
眠っている時でさえ、夢を見る。
現実的な夢、非現実的な夢。
常に何かを考えながら、生きている。

今年も一作、何か舞台をやりたくて。
書いていたシナリオは、ラストを描ききれず、ファイルを閉じてしまった。
半分だけのシナリオ。
何の意味もない、シナリオ。
再びファイルを開けて、続きを紡がれるのを待っている。
いつも、その続きを考えている。
すでに書き上げた織田教授と鈴木のセリフは、何度も口ずさんで覚えてしまった。
なのに、白紙の行の続きが書けない…。

無心になれるとき。
ライトをあてているとき。
歌っているそのひとに。音楽を奏でているそのひとに。
一瞬の光のシャワーをあてる。
そのひとを照らすのではなく、空気に色を付け、そのひとの音楽に色を添える。
照明のライトのせいじゃなく、そのひとそのものが輝く瞬間、そのひとの心を照らしたような感覚に陥り、無心になれる気がする。
頭で考えず、その瞬間の気持ちが、指先から伝わる。

想いを伝えるのは、いつも指先から。
言葉も、照明も、指先から伝える。

無心になりたくて、黙々と夜の道をひたすら歩いていても、指先が凍っていくように感じる。
頭は常に何かを考えていて、指先にはその言葉は伝わらない。

人の気持ち。
答えを出さなきゃならないこともある。
なのに、未だ答えを出せないでいる。

頭上には、瞬くオリオン座。少し欠け始めた月…。
少しの間、空を見上げていると、星が流れた。
心の中で呪文のように願い事をつぶやく。
でもきっと、私の願いは叶わない。

真夜中の散歩は、まるで迷路に迷い込んだかのよう…。


2011-09-17 00:24  nice!(5)  コメント(9)  トラックバック(0) 
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コメント 9

COLE

読者になる「RSSに登録」をしているので更新するとわかるのです
書き込みがあると楽しくなります
きっと脚本家のお仕事がお忙しいのでしょう
文面を見ている限り頭の中がぐるぐる回っていることが
楽しそうに見えるのです

我が息子は2年前から大学生になって静岡に住んでいます
すっかりと彼の地に馴染んでしまっています
by COLE (2011-09-19 12:56) 

なっちん

午前4時。
こないだは、娘のお弁当と朝ごはんを作ってました(苦笑)

大変ご無沙汰しておりましたm(_;)m

猫たさんは、「何かを考えている」のですね。
私は・・・考えているようで、考えていないかも・・・です。
”感覚”で動いているので(笑)
ただ。
考えまくった末に、出てくる”感覚”もある気がします。

だから、猫たさんの場合は
逆に”感じた”先に”思考”があって、そこから紡がれるものもあるような気がします。

ってか。
相変わらず、猫たさんとはシンクロしているようです(^^;)ゞ
by なっちん (2011-09-28 23:47) 

だい吉

お久しぶりのだい吉です^^/
お元気ですか~(笑)
今年、転職をし深夜族から普通の生活になってしまいました(笑)

僕も一時夜中に歩くことがありました。
自分の感情が溢れて家の中では処理できなくなることが、あったからです。
星を眺めて、歩道橋から交通量の減った道路を眺め、河原で明かりの少ない街中を眺め…
今は少し落ち着いた生活のお陰で、夜中出歩くことは減りました。
良い事ではありますが、ちょっと寂しいかも(笑)

人は贅沢な生き物です^^

by だい吉 (2011-11-16 20:04) 

あすなろう

ご無沙汰しています。
相変わらず神経をすり減らすような
文筆生活ですね。
この間車で東名高速を通って、土曜の
早朝3時ころから茅ヶ崎、
小田原あたりまで往復し、
日曜日の8時ころ帰宅しました。
小田原城、茅ヶ崎海岸を堪能しましたよ。
by あすなろう (2011-12-11 23:29) 

猫たぬき

こんばんは、COLEさん^^; nice!ありがとうございます。
明けましておめでとうございます!
去年の9月から更新してないので、お返事コメントが遅くなりました。
脚本の仕事が忙しい…というわけではないのですが、それ以外の仕事で日々てんやわんやです。本末転倒なオハナシでして…(笑)
面白いブログネタはいろいろあるのですが、なかなか文章にならないですが、今年はもう少し更新を増やしたいと思っています。

息子さんは、静岡にいらっしゃるのですか?!
もしかしたら、どこかでお逢いしているのかも^^;
何だか不思議な感じがしますね。
by 猫たぬき (2012-01-15 02:07) 

猫たぬき

こんばんは、なっちん^^; nice!ありがとー!
明けましておめでとうございます!
去年の9月から更新してないから、返信遅くなりました。

なっちんとは、いろいろシンクロしてますね。
私も「感覚」の先に「思考」があるように思います。
理屈よりもまず自分が「感じること」が大切だな、と。
感じて、考えて、また感覚に戻っていく。たとえそれが「痛み」であっても。
午前4時は、そんな時間なのかな?(笑)

by 猫たぬき (2012-01-15 02:12) 

猫たぬき

こんばんは、だい吉さん^^; nice!ありがとうございます。
明けましておめでとうございます!
返信遅くなりました。
転職なさったんですね。「深夜族」からも転職ですか?! 私は、まだまだ深夜族更新中です(笑)

感情が溢れだすときは、歩くに限りますね。
ときどき、終バスに乗り遅れたときに駅から家まで歩くことがありますが(片道一時間。タクシーがキライなので)、そのときは、ショートストーリーが一本出来てしまうこともあります。
喜怒哀楽は、モノを作る人間にとってなくてはならないもの。
ときどきは、「感情がなければ、人は(私は)もっと傷つかずに生きていけるのではないか」と考えますが、そうなると、もうモノを書く人間ではなくなるんですね。
嫌なことも、良いことも、すべて引き受けてこその人生。
いいとこ取りは出来ない。

ホント、人間と言うのは贅沢な生き物です(笑)
by 猫たぬき (2012-01-15 02:21) 

猫たぬき

こんばんは、あすなろうさん^^;
明けましておめでとうございます!
すっかり返信が遅くなりました。
文筆生活…というのは過言かと思いますが、神経をすり減らしているような気はします(笑)
生きることは、傷つくこと。…誰か詩人の言葉だったかな?
傷を負った分、書いたものに生かせれば、とは常に思っています。

真夜中、海辺のドライブは素敵ですね。
免許のない私には夢ですが…。羨ましいです^^;
by 猫たぬき (2012-01-15 02:29) 

猫たぬき

xml-xslさん、kiyoさん、nice!ありがとうございます。
by 猫たぬき (2012-01-16 02:05) 

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